【本】だから、ぼくは農家をスターにする 『食べる通信』の挑戦
東北食べる通信の発起人の方の食べる通信を立ち上げる過程とその思いが綴られた1冊。
現在は、全国各地で独自の食べる通信が発刊されている。
ちなみに、食べる通信とは定期発行の食べるものつき情報誌である。特定の生産者にスポットライトを当て、どういう思い、哲学で生産しているかなど食べものの裏側にある背景をあぶり出す。それを知った上で、その食べものを食べてもらうことで、ただただスーパーなどで野菜を購入して食べるのとはまた違った体験をできる。
書籍の後半で出てくるCSAというのは、自分でも取り組んでみたいなと思った。
CSAとは何かというと、「Community Supported Agriculture」の略で、地域に支えられた農業を意味する。欧米諸国ではすでに、けっこうなCSAが存在するが、まだ、日本には、CSAとして成り立っている(似たようなものはあるのだろうけど)農業はまだ数えるくらいしかないようだ。
スーパーで野菜や魚などの生鮮食品を購入する場合は、商品の姿形がある程度整っているため、工業製品を購入する感覚と似ている。生産者に思いを馳せて商品を手に取るという感覚をもつ人は、かなり少数派だろう。
このCSAは、生産者と消費者が直接コミュニケーションをとることができる。
食べる通信では、生産者を直接尋たり、Facebook上のコミュニティで交流することで、さらに、消費者が生産者とウェットに関わることで、深いつながりをもつことが可能だ。
そのため、食べる通信の発行部数は、上限が設けられており、現在は、キャンセル待ちの状態が続いているという。
自分も、農業をはじめて一番違和感を覚えたのは、生産したものがどんな人が食べているのかが分からない上、食べてみてどう感じたのかということがまず、分かる機会が少ない点だ。そのため、生産のための正しい方向でのモチベーションを上げにくい。
この食べる通信は、そういった今までの農業の仕組みでは、達成しにくかった生産者側の違和感の解消に一役買う仕組みだなと感じた。
これから就農したいと思っている人は、まず、目を通しておいた方がよい1冊だと思う。