【本】コメをやめる勇気
タイトルがかなり過激だが、内容はかなり事細かに調べられて書かれている。
今作は、日本経済新聞、日経電子版、日経ビジネスオンラインに掲載されたものを加筆修正したものをまとめたものとのこと。
本書の主張は、はじめの部分にある「コメ本位主義ともいうべきモノカルチャーの農業と農村から脱皮する時がきた。」という一文にまとめられるだろう。
繰り返し言われてきた主張ではあるが、いよいよそう遠くない未来にこの問題が大きく立ちはだかってくる。それは高齢農家の引退が増加し、その結果耕作放棄地が急増するためである。
食料自給率うんぬんという観点化の農業の後継者問題というのが取り上げられるが、
景観維持機能としての農業、この場合多くがコメ農家のことを指すが、そのコメ農家を
継続できない高齢者が増加し、耕作放棄地が増えていくのである。
私の近所でもあと5年以内にはそういった問題は大きく身に降り掛かってくると思われる。とくに減反廃止となる2018年までに一気に事が進むことが予想される。
今まで、コメ農家を維持できてきたのは、兼業というシステムが成りてっていたためと、著者はいう。採算の取れないコメ栽培も、もう一方の収入で補填することで家計をやりくりすることができていた。しかし、兼業の方の収入場所というのが景気の波で、減ってきているかつ、後継者不足という2つの両輪が相まって、今のような高齢者の離農による耕作放棄地の問題が顕在化されてきた。
本作の中で、具体的な解決策が明示されているわけではないが、いくつかの成功事例をあげている。
- 10aあたりの収量を増やす多収米の栽培
- コスト半分の効率経営
- ストーリーでワイン化を目指す
- コメを雑貨感覚で売る
どれも、名人によるところの成功例ではあるが、大いに参考になる。
いずれにせよ、今までと同じようにコメを作って農協を通して販売していては、
お先は暗いということは間違いないだろう。